「テイルズ・オブ・ファンタジア」プレイ後雑感

データ プレイステーション用ソフト 1998年12月発売
定価¥5、800(税抜) ナムコ

今回はネタバレ要素が多少ありますが、ストーリー展開や謎解きに関わるネタバレについては、リンクを張って別項にまとめました。こんな感じです。リンクをクリックすると、別ウィンドウが開いて、該当部分の説明が出てきます。クリアなさった方・ネタバレ気にしない方は、ネタバレリンクをクリックしてやっておくんなまし。

忘れ得ぬ名作の復活

見つけて Your Dream どこへいても
覚えてる 時を越えて Kiss kiss kiss

 1998年年末。
 テレビから流れ出して来たその歌のメロディに、一瞬、私の時間が止まった。
 懐かしい……あまりに懐かしすぎるあのメロディ。忘れられないRPG、「テイルズ・オブ・ファンタジア」。
 今でもはっきりと覚えている。
 94年の年末、まだSFCを手に入れて1年と経っていなかった私は、当時あのゲームをプレイした。きっかけはやはり、テレビで流れていたCMからだった。暖色系の色使いがやさしい、美しいヴィジュアル。派手な特殊攻撃の応酬。そして流れていたのは同じ歌。SFCで、こんなにはっきりとした「歌」が再生されていることに、新米ゲーマーだった私でさえも驚いた、あのメロディ。
 色々な意味で、私にとっては忘れられないゲームだった。いい意味でも、悪い意味でも。というのは、私にとって「TOP」は、初めて「クリアできずに途中で投げた」ゲームだったのだ。

 ……なんて、今回はちょっと小説風のオープニングで攻めてみました。
 いやね、でも本当に「TOP」は、私にとってずっと「ひっかかってる」ゲームでした。大好きだったんです。テンポのいい戦闘。かわいいキャラクター。美しいヴィジュアル。ぐいぐいこちらを引き込むストーリー……でも、いかんせん難易度が高かった!
 外見可愛らしいだけに、あの手強さには泣かされましたよ。しかも当時の私は、まだゲーム歴1年未満の若造でしたからね……ボス戦では何度全滅したか分かりません。非常に苦労して苦労して進めて……結局ねえ、クリアまで行けなかった。かなりいいところまでは行ってたんですが、炎の塔の進め方が、どうしても分からなくって投げちゃった。
 自分にとっては、すごく衝撃でした。「クリアできない」ってことがショックでしたねー。まあその後は、結構あっちこっち手を出しては、クリアせずにほったらかし……ってのを繰り返してしまって、未クリアという現象にも慣れましたけど。←……。
 SFC版「TOP」は、前述した通り、かわいい外見の割には歯ごたえがあって……敵が強い・エンカウント率高い・謎解き複雑と、詰まる要素に溢れていたというのに、攻略本が出回らなかったし(存在はしていたらしいですね。全く見かけなかったけど)、途中で投げた人って、案外多いんじゃないかと思うんですが。←自己弁護。今ならネットでも尋けますけど、当時はそういう便利なものもなかったし。
 実は97年ぐらいに、私はナムコのホームページに、このSFC版「TOP」の、一番詰まりやすいところトップ10の攻略方法が載っているのも発見したんですが、その時にはもう熱がなかったし、色々トラブルもあって、結局ソフト処分してしまったんですよね。今思うと、ちょっと惜しい気もする。

 でも98年末。
 PS版で蘇った「TOP」のCMを見る内、当時の記憶がどんどん溢れてきて。あの懐かしい主題歌の、メロディもサビの歌詞も、まだ覚えている自分に気づいて……どうしても、今度こそクリアしたくなりました。それに今回は攻略本も出回るみたいだし、いざとなったらネットで尋けばいい。
 ゲーム雑誌で、難易度調整されていること・新機軸も盛り込まれていることを確認して購入しました。

極めて上質の物語

 のっけのアニメーションムービーから、打ちのめされましたね……何て綺麗なんでしょ。しかも描かれているシーンが、どれもこれも懐かしい……焼き払われた故郷、ユミルの森、ヴァルハラ戦役、常闇の町アーリィ!オープニング曲はリメイクされてたけど、私としてはこちらのアレンジの方が好きですね。(SFC版の方は、ちょっとイントロがヘンだったよね……?)。
 藤島康介さんの絵って、可愛くっていいですよね!我が同人の相棒・佐原いつき氏は、絵描きとしての視点から見てしきりと、藤島氏のデザインの「リアリティ」に感心しておりました。ファンタジーもののキャラには、「これは普段、どうやって持ち運んでるんだ!」っていう武器や、「重力に逆らってくっついてるぞこの鎧!」って感じの衣装がつきものですが、藤島氏の絵にはリアリティがあって、ちゃんとキャラが「生きて」活動できるデザインになってる。しかも可愛い。
 キャラの話が出たんで、そっちへ行ってしまおうかな……「TOP」のキャラは、甲乙つけがたくどれも好きですね。イヤミがなくって良い。
 最近のRPGのキャラって、妙にこう「狙ってる」というか、「こういう風に性格(容姿もか)設定したら、ゲーマーには受ける」みたいな匂いがはっきり感じられて、まあそういうのも嫌いじゃないんですが(←おい。)それでも、さすがに鼻につく時ってあるんですよね。でも「TOP」にはそういう、受けを狙って作った匂いがない。すごくシンプルで、それでいて芯が一本通っている。王道中の王道なんだけど、すごく生き生きしてる……こういうキャラメイキングって、実は今は、逆に貴重なのかも知れないなあ。
 それを今回、すごく盛り立てていたのが、フェイスチャットシステムですね。これは「テイルズ・オブ・ディスティニー」からこのシリーズに取り入れられた要素だそうですが(「TOD」は未プレイ。)要はフィールド画面(非戦闘状態)で、キャラどうしのおしゃべりが聴けるというシロモノ。これがもう、すっごくおもしろかった!シリアスあり、ギャグあり……特に、SFCで一応「おなじみ」だったキャラの意外な一面とか、「こんなこと考えてたのか」という部分がどんどん出てきて、私はもう「何かあるとセレクトボタン」。押しまくって、聞きまくりました。
 特にクラースは、SFC版ではシブい感じの(年令も、一人だけちょっと上だし)好青年だったというのに、PS版はフェイスチャットのせいですっかり、オチャメな兄ちゃんに……。イメージひっくり返されました。だがそれがいい!男性キャラではイチオシです。
 2オシはダオスかな。やつの最期は泣かせる……。
 女性キャラでは、ミントとアーチェ、どっちがどっちって甲乙つけらんないなあ。普段だと私は、ミントのようないかにも「お嬢様」キャラって苦手なんですが、ミントは芯の強さがあっていい。しかも「ピコハン」、使えるんですねえ……私、SFC版ではずーっと「いのちをだいじに」で戦っていたから、戦闘補助があそこまで有効だとは知らず……。←でもさあ、SFC版って結構死にやすかったよね……。
 アーチェは何か、チェスターと込みで好きですね。これもフェイスチャット効果かな。「TOP」は、キャラどうしの淡い恋愛模様もいい感じで、花を添えてますね。でもさじ加減が微妙で……うん、あのぐらいのほのぼのしたのが好きです。

ストーリー展開そのものは、割合王道的なファンタジーRPGなんですが、主人公クレスと最後まで敵対して行くことになる敵・ダオスのキャラクターにもヒトクセありまして、単純な「勧善懲悪モノ」にしなかった辺りが好きです。王道的ファンタジーといえば、クラースの精霊召喚や、アーチェの「ハーフエルフ」という設定、その他「ミッドガルズ」「ユミルの森」「グングニルの槍」などの北欧神話モチーフ等、元ネタがちょっとベタすぎるかなと思わなくもないんですが(あっちこっちで使われまくっちゃってるからねー、この辺のネタって)、全体が上手くまとまってるんで、嫌味な感じじゃなかったですね。
 ……地味と言えば地味なんですよね。いや、キャラの心理や物語の展開は、ものすごく丁寧に描けてるし、何処も手を抜いてない、上質のシナリオだと思います。ですが、逆に言えば、ややまとまりすぎちゃっているのが、ある意味、このゲームの印象が弱まりがちな原因なのかも知れないなあ。
 魅力的な物語というのには、ある程度破天荒なノリみたいのも、重要な要素なんですよね。SFC版はその点、多少お行儀が良すぎてしまったようにも思うんですよ。今回のPS版は、本編の基本的な流れは変わってないけど、フェイスチャットとか追加要素(アーチェの「料理下手」ネタで引っ張ってくイベントとか……)のおかげで、うまく「崩す」ことができたかなと。いやあ、ホントにおもしろかったです。

息もつかせぬ戦闘シーン&魅惑の料理システム

 「TOP」の戦闘は、半分アクションの要素を取り入れたリアルタイム制のもので、これはホントに他に類を見ないシステムです。これが結構ね、手強いの。まあアクションド下手の私でも、隠しボスまで全部倒すことは出来たので、心配する程シビアではないんですが。SFC版よりも色々と、システム改良されてるし、何よりエンカウントが減ったのはありがたかった。あれが一番ツラかったんですよねー。敵が強くて、場面によっては結構、一戦終わるごとにボロボロになってたりしたので(なのに、回復アイテム所持数がちょっと、シビアだったしな……)、連戦はきつかったの。
 しかし本当に、強敵相手の時ほど、「先に仕掛けた方勝ち」の戦闘になるシステムなんで、せわしないっちゃせわしない。レベルが上がっても、あんまり油断できないシステムなんですよね。その辺の緊張感がなかなか……ただ、基本システムそのものは決して難しくはなくて、感覚的に操作して手も何とかなる辺りが、さじ加減上手。←これはPS版だけに言えることかも。
 ただ唯一文句を言うならば、実はラスボスよりもあっち(複数形)のが強い、というのが、個人的には気にくわなかったかもー。というか、あっちに勝ってからラスボスに挑むと、何か案外あっさり勝ててしまって、ちょっとがっかりしました。あっちではあんなに強かったのに……って、それはこっちが強くなってるだけなのか。

 あと、PS版での数々の新要素の内、私ががっちり心を捕まれてしまったのが、やはり何と言っても!料理!!
 というか、自他共に認める食いしん坊の私としては、こんなゲームを待っていた!という感じでした。既存のゲームにも、食事ができるものはいろいろありますけど、ちゃんとグラフィックがあって、機能的にも役に立つとなると、結構数が限られてくるのではないでしょうか。
 食材をいっぱい揃えて、調理するところがたまらないです。料理にも食材にも、こまごました説明ついてるし、グラフィックもおいしそう!だし、しかもすごく「使える」システムなんですよね。あれのおかげで、私はほとんど回復アイテム(グミ系)を使いませんでした。
 新しい町に行くと、食材屋をチェック。終盤は資金にも余裕が出たし、常に全食材を15個ずつ、きっちり揃えて歩き回っていた私でした。料理によって、必須食材と選択食材がある辺りも、何か芸が細かい。「サンドイッチ」だと、必須は「ブレッド」だけで、後は「たまご」「きゅうり」「レタス」「じゃがいも」から2種選ぶ……そんな感じ。「そうかー、今日はレタスとたまごのサンドイッチね!」とか言いながら、クリアまでこぎ着けましたです。

「移植」の在り方

 総合的に考えてみると、やはりこのPS版がよりおもしろく、しかもヒットした理由は、これらの「移植に当たっての改良点」が、すごくいい具合にできていたからじゃないでしょうか。勿論、おおもとのSFC版が良くできてたからこそ、改良点がますます生きた、ということもあるでしょうが……それに甘んじず、「今」「PSで」リリースするのに相応しい内容に改良したからこそ、PS版「TOP」は本当に「伝説のRPG」になり得たんじゃないかと思うんです。
 ここでちょっと思ったことがひとつ。今、過去の名作ソフトを「移植」して、SSやPSでリリースする動きが、さかんになってますよねえ。でも、一口に「移植」と言っても、やり方は色々ある訳で。今回の「TOP」のように、改良点を加えてニューバージョンとして蘇らせるか、或いは「完全移植」を目指して、原盤に全く手を加えることなく移植するか……。この選択って、結構賛否両論あると思うんです。元のままが良いという方もいるでしょうし、どうせ移植するなら、不具合や古くなったグラフィックは、直して欲しいと思う向きもあるでしょう。
 私は個人的には、例えば「ナムコミュージアム」収録作品のような、日本のゲーム黎明期〜FC時代を支えた記念作のようなものに関しては、「敢えて素のまま」全く手を加えない移植というのは、ありだと思います。それに「パックマン」「ギャラガ」あたりになると、今PSで再プレイする方も「当時の想い出を懐かしむ」意味合いが強い訳ですから。下手に手を加えると、ユーザーの想い出にツッコミいれることになっちゃいますからね……。
 でもSFC時代の作品になると、どうなのかな……今や「なつかしい」匂いになってしまった、8色のFC画面と違って、中途半端に綺麗だったり細かかったりするSFCのドット絵って、32ビット機に慣れた目には、ただ単に「古くさい」ように見えちゃうんですよね。
 特に発売した当時「こんなに綺麗なグラフィック!」と謳われてたゲームが、今やただ古くさい絵柄に見えてしまう、あの悲しい「時代遅れ」感を、PS上に再現するくらいだったら……多少なりとも、手を入れても罰はあたらないように思います。
 旧ハードでリリースしてから4・5年も経てば、ユーザーは入れ替わります。原盤をプレイしたユーザーだって、細かい点はうろ覚えになります。そういう時に「蘇って」新ハードで戻ってくるのならば、「今」に相応しい内容にリメイクした方が、ユーザーに対して親切なのではないでしょうか。いや、ごちゃごちゃ言わなくても、その「リメイク移植」の具合が良くできてさえいれば、誰も「オリジナルと違うじゃねえか!」という貧相な怒り方はしないと思うんですよね。
 以上、PS版「TOP」の後に、PS版「ファイナルファンタジーVI」をプレイして、しみじみ思ってしまったことでした。追加のCGムービーはそりゃもう、綺麗だったし凄かった。けど、肝心の本編がやっぱり、寂しいんだよねえ。FFコレクション全部に言えることではありますが……もう少し、思い切っていじってしまっても良かった気がするんです。しかもSFCとまるきり同じ画面のくせに、プログラムが比較にならないほど「重い」動きをするし。こんなんだったら、PSでも軽く動くように作り直してもらっちゃった方が、私としては嬉しかったな……。


つれづれゲームレビュー / ラジカル・ドリーマーズの小部屋