『高機動幻想ガンパレード・マーチ』(プレイステーション)

 かなり有名なゲームなので、今更説明するまでもないかもですが……独特の世界観を持つ、学園バトルシミュレーション。少し前に発売されたソフトで、ずっと気にはなっていたのですが、何だかんだでプレイするのが遅くなってしまいました。遊んでみて、「いやー、もっと早くやっとけば……」と嘆き悔やんだことは、まあいつもの通りです。
 RPG馬鹿なもので、SLGはついつい見送りがちの自分でも、力いっぱいにハマれました。舞台が一応「学校」なせいか、感情移入しやすい要素が多くてとっつきやすいです。難易度は多少高めですが、ダメでもダメなりに楽しみ方があるというのは嬉しいところですよね(まあ、実際にダメダメ状態の時は、半べそかきながらプレイすることになるんですが)。
 取扱説明書で、制作側自らが公言しているように、楽しみ方は自由自在、「遊ばれる」のでなく、自ら「遊ぶ」余地を見出して挑むゲームです。自由度が高いゲームが好きな人には、たまらない1本だろうと思います。

 物語の舞台は、われわれの現代日本とよく似ているようで、少しだけオーバーテクノロジーの匂い漂う、架空の「日本」の「熊本県」。世界は「幻獣」と呼ばれる、異世界からの襲撃者に圧倒されており、人類の命運は風前の灯火。ヒトという種族の最後の決戦の地となった極東の国・日本では、最終決戦を遂行する戦力を完成させるまでの「時間稼ぎ」として、10代後半の少年少女たちを、学兵として徴収。申し訳程度の訓練を施しただけで、激戦の地・熊本へと送り込んだ。
 圧倒的な戦闘能力を誇り、数でも勝る幻獣軍の前に、にわか仕込みの学兵たちは敗戦に継ぐ敗戦を重ね、何万人と言う命が失われて行った。ゲームの舞台となる「5121小隊」も、そんな捨て駒学兵部隊のひとつ。プレハブ作りの校舎に押し込まれた22人の生徒たちは、「士魂号」と名づけられた人型戦車を自ら整備し、自ら操縦して、幻獣と戦わねばならない。本土で待つ多くの人々の為に、残されたわずかな人類の未来の為に、そして何より、自分自身が生き延びる為に。

 世界観は陰鬱ですが、演出自体は派手でなく、むしろ淡々とした印象でゲームは進みます。逆にこの淡々とした雰囲気が、日常にまで戦争が刷り込まれてしまっている世界の怖さ、みたいなものを感じさせて、ぞくっと来るものがあったりするのですが。
 平時は「学校」ですから、毎日授業があります。放課後になったら戦車兵として体を鍛えたり、機体の整備をしたり。合間にクラスメートとご飯を食べたり、おしゃべりしたり。日曜日には仲の良い者どうしで遊びにも行ける。
 もちろん恋愛もできる。つきあった彼女からは、毎朝手作りのお弁当が届く。デートの約束をとりつけて、さて出かける場所はどこにしようか、わくわくと悩んでみたり。
 そんなのんびりとした日常風景が、出撃命令ひとつで一瞬にして吹き飛ぶ。
 整備した機体で戦場を駆ける。侵攻してきた敵幻獣の、2割を撃墜すれば戦闘には勝利できる。勝てば官軍、退却して行く幻獣たちを背後から狙い撃ちし、撃墜数を稼ぐ。大量の撃墜を成し遂げたものには、勲章が贈られる。隊内での発言力もアップし、仲間の寄せてくる信頼も厚くなる……勝てれば、の話。
 こちらの2割の兵員を失うと、戦闘は敗北となる。敗北と言っても、それは「ゲームオーバー」ではない。負けても生き残った者たちで、部隊運営が続く。出撃の直前までおしゃべりしていた相手が、もう帰って来なくても。その死によって空席となった部署に、別の仲間が移動して、戦線は維持されるのだ。機体が損傷し、自分が出撃できなくても、命令がかかれば部隊は進軍して行く……。

 ……容赦のない、世界の残酷さ。けれど部隊の仲間たち、5121小隊の生徒たちは、不思議なぐらい「明るく見える」んですよね。一歩出れば死ぬかも知れない状況の中で、毎日授業を受けて、お昼には仲の良い友達どうしで、弁当のおかず取り合ったりして。個性的で、みんなそれぞれの思惑があって。その中には勿論、明るいものばかりではなく、悩みや悲しみが隠されていたりするのだけど。
 限りなく悲劇的な状況でありながら、本人たちはこれを「悲劇」とは決して呼ばない。
 何となくね……所詮、戦争を知らない世代、平和ボケした人間の感想でしかないのですが、この異様なほどの「日常感」にこそ、戦争の世界のリアルさがあるような気がします。逆にそれって、彼ら学兵たちにとっては、もはや戦争が「日常」になってしまっているということの証左であり、それはそれでいっそう残酷な状況なのかも知れないんですけど。

 この世界観。それから、多彩なキャラクターたちの個性。
 22人の生徒たちには擬似AIが搭載されており、各人がそれぞれの思惑を持って行動しています。これにどう答え、どうやって人間関係を作っていくかがガンパレの基本であり、すべてであると言っても過言ではないかも。
 いやもう、とにかくこいつらがですね、全くもってこちらの思い通りにならんのですよ。単純に仲良くなるだけなら、それほど難しくはないの。いっぱいしゃべって関心をこっちに向けさせるだけだから。その後がね……複数の異性と仲良くなると、争奪戦が起きて「どっち!?」とか迫られるし、一度付き合った相手と別れようとしても、「絶対にいやだ!」と憎しみの念を放ちつつも別れてはくれないし。クラスメートどうしの仲も問題で、いつの間にか「誰々さんと誰々さんがつきあってるって」とか「誰々さんと誰々さんがケンカしてるー!」とか「誰々さん、みんなにすごい人気でプレゼントもらいまくりー」とか、いろいろと香ばしい状況が発生してゆきます。
 私(プレイヤー本人)は、八方美人の天秤座なので、割合みんなと仲良くしつつ、異性とはまあ適当に距離をとりつつ、という感じで遊ぶことが多いんですが、どうもいつも「みんな私のことが好き、でもお互いのことはどうでもいい」という、微妙にいやな感じで安定しがちです。あと、私の親友はみんなお互いしょっちゅうケンカしてる。もしかして、私をとりあっておるのだろーか……(同性どうしなんだからやめい、と言い切れないところがガンパレの怖さ……)。

 いつも同じような状況、と書きましたが。プレイヤーキャラを変えつつ何周か遊んで、毎回「今回は違うことをやろう!」と思っていても、気づくと何だか毎回、同じよーな状況になっちゃってるんですよねえ。とりあえず、司令も整備士も自分にゃ合わなかったので、だいたい最後には士魂号に乗ってる。そして授業をサボれない。微妙に罪悪感があってのう、定時には教室にいるという。うーん、自分の学生時代が反映されておるのか。
 そして、争奪戦を起こすキャラが、速水・瀬戸口・茜の三人で、ほぼ確定してるのも何だかな。自分の趣味わかりやすすぎ。自キャラ男子の時には、ほとんど争奪戦が起きないのは、コナかけてるのがいつも舞だけだからでしょう……(一度、仲良くした覚えがないのに、壬生屋に追い掛け回されて困ったことがあったなー)。

 争奪戦の内容を見ればまあ、好きキャラは一目瞭然ですが。男子は速水・瀬戸口・茜でほぼ決まり。肉体派よりは頭脳派好みなので、スカウトとか興味が行かないんですよね……(瀬戸口が「頭脳派」か、という問題があるが、まあどことなく文系っぽい匂いはするよーな)。狩谷に行かなかったのがちょっと不思議ですが……最初の「好青年風スマイル」が、明らかにウソくさかったあたりが、きっとひっかからなかったのじゃろう。
 女子は圧倒的に芝村舞ラブです。最初は「なんじゃこの娘」という感じだったんですが、しょげかえるシーンの可愛さにきゅんと(←ベタだ……)。あと森さんも好きだなあ。彼女は男女両方に人気ですよねー。わかる気がする。
 萌ちゃんも好きです。屋根修理イベントを見て、善行さんとのカップリングいいような気がしたんですが、こんなことを言うと原さんに刺されそうですね。

 しかし私のファーストマーチ(1周目)の速水は、熊本城三戦目において舞と共に戦死。「ゴッドスピード、速水」っつーことで終了いたしました。いやもう、あの時点ではどうやってもあれを生き抜くことはできませんでしたよ……。データも前日(すでにHRで熊本城を告知された後)からしか残ってないし、何より自分のステータスが、全部600台程度しかないのが辛かった。だって善行さんが「Sランクになればいい」って言ってたからさあ!(←Sランクに到達したあと、訓練を全くしてなかった……)「狙う」で射撃しても、ナーガを2発でしとめきれないようではもう。
 本当は三戦目で舞を見捨てれば、ゲーム自体は続く訳ですけど。それは私の道ではない!ということで、あっさり放棄してセカンドマーチへ。熊本城を回避しまくって、手堅くAランククリア。
 絢爛舞踏は自分には無理だ!と思ってたんですが、上のAランクデータで舞プレイをしていたら、3月下旬で80機ほど撃墜してたので、「もしかしたら狙えるかも……」と一念発起。1.2番機捨てたり、指揮者運転手外したり、小細工を弄して見事、4月末には300機撃墜達成しました(周辺地区が苦戦してて、かなり頻繁に「支援要請」が来たのがありがたかった)。熊本城抜きで300機だから、結構頑張ったよね!?←同意を求めるな。
 んで、「やたー!絢爛舞踏!!」とお祝いとばかりに、翌日みんなでキャンプを提案(ホントは、指揮者運転手を外す為に提案してた作戦会議)。一日遊んで翌日勲章授与……と思ったら、「絢爛舞踏章」に続いて「極楽トンボ章」も授与(がーん)。
 でもまあ、いいや。絢爛舞踏はとれたんだし、みんなに褒めたり恐れられたりしてみよう、とクラスメートに話しかけて回ったら!「おまえ要領悪いんだよ」「仕方のないやつだ」……皆さん、300機撃墜の鬼より、遅刻大王からかうほうが楽しかった模様です。

 この経験が悔しかったので、Sランクデータからの田辺プレイでは、「小隊皆殺し作戦」にチャレンジしてみる(おいおい)。いや、死に際イベントがいろいろあると聞いたし、戦況不利で食糧難とかなったことなかったんで、見てみたかったんですが。やっぱり何だか真面目に授業を受けちゃうわ、訓練も頑張っちゃってえらい強くなってて、みんな死なない死なない。つーかアタシ一人で大勝してるんですが。気づけば戦況も膠着状態。
 仕方がないので司令に就任。突撃命令を出して、無理やり小隊の粛清に乗り出してみたんですが(こらこら)、断末魔の悲鳴に胸が痛む痛む。翌日はどこへ行っても「暗い雰囲気」。自分で死なせといて、みんなを慰めて回る恐怖の司令田辺真紀(←おまえだ)。
 なんかこう、途中でつらくなってきたので、小隊人数半分ぐらいのところで司令を彼氏の瀬戸口におしつけ、自分は士魂号に復帰。超硬度大太刀で幻獣切り捨てまくり、何かビミョーな膠着状態で5月10日を迎えてみました。撤退戦まではもちこめずじまい。熊本の勢力図は、北西半分が真っ青(幻獣が全くいない)、南東半分が真っ赤(こっちは人間がほぼ絶滅)という、すっごい極端なものになってました。何でこんなになったんだか、自分でもよく判りません。転戦失敗かなー。
 このプレイの時、「失意」のみんなを励まして歩いてたら、普段あんまり自分から提案してこない瀬戸口が突然、「泣きたいときは泣いて」と励まして来て驚く。あれっと思って自分のステータスを見たら、「失意」になってた。みんなの「失意」を励ますのに懸命になってて、自分の状態に気づかなかったんだよね……。
 この一件で、もともと好きだった瀬戸口に、なんか心底惚れこんでしまったのでした。単純だねえ。でもその瞬間は、マジでじーんとしてしまったのですよ(←しかしそんなに隊員殺しまくったのは自分……)。
 あとこのプレイでは、士魂号に復帰した後で熊本城にも挑戦。初めて三連戦を突破して感激してたのですが、結果として「運命の友」の舞ちゃんと、何かビミョーに百合チックなイベントの数々を体験することに。ま、まあいっか、ガンパレだし。あんたの時にこれやれなくてごめんな速水!

 という訳で、速水×舞を基本に、瀬戸口を愛しつつたまに茜にちょっかいかける、というのが私の基本スタイルです。やはり、自キャラ女でやった方が、より自分の本性出るかなあ、という気はする。男の争奪戦は微笑ましいけど、女キャラに「どっち」言われると、うっとうしさのが先に立っちゃうんだよね。同性の嫉妬というのは、身近に感じすぎて嫌なのかも知れない……自キャラ男子なら、速水とも瀬戸口とも同時に仲良くできるから、それはそれで楽しいんだけどさ。
 異性と深入りすると争奪戦だからと、ついつい同性と徹底的に仲良くしてしまうのは、私だけでしょーか。女子でやっても男子でやっても、最終的には同性すべてと「Hな雰囲気」ハーレムを形成してしまうこといでした。

 まあそんな感じで、毎回似たような状況になってしまうトホホプレイをまったりと楽しんでおったのですが……攻略情報を探していると、いやがおうでも目に入ってくる「裏設定」「世界の謎」の数々。あれって……うーん、どうなんでしょうねえ。
 自分も確かに、速水の二面性がすごく好きなんですよ。ぽややんな天然と、さめた理性的な部分が同居してる感じ。けど、その「ぽややん」が、さめた感覚によって「すべて演技されている」と言われると、ものすごい興ざめでしたね……。というか、自分がプレイして感じてた速水は、「ぼけっと抜けてるようでいて、物事の本質をきっちり見抜いてる」程度の人格だったので、裏設定は読めば読むほど「ううーん」という感じになってしまいました、正直。
 あと一番がっかりしたのが、瀬戸口関係。「過去の絢爛舞踏」ぐらいまでは、ゲーム内での発言とも符合して理解できるけど、鬼とかシオネ・アラダとか壬生屋とのあれとか……ごめんはっきり言うと「中坊の書いたSFファンタジー」みたいな設定の数々に、海の彼方までひきまくりました(今時「前世からの因縁」はねーだろう……)。また私にとって瀬戸口が、とてもニュートラルな存在(絢爛舞踏を目指して行く速水のことを案じる程度で、あとは特定の誰かと因縁を持たず、自在に「愛」をばらまける感じ)だったもんでねえ。余計にこたえた。
 ののみ関連とかブータとかも、ゲーム中で一回「こうだ」と言ったことを、「あれは実はフェイク」といったんひっくり返し、それから「更に本当の真実では……」とまた元に戻してみせる。そもそも「世界の謎」じたいが、制作側で最初から決めてた部分半分+その後の掲示板のやりとりで形成されてった部分半分で、良く言えば「いいとこどり」だけど、悪く言えば「場当たり的」、つじつまがあってるようであってないんですよね。
 正直ね、ずるいと思う。プレイヤーの想像の余地が大きくなるようなゲームのつくりをしておいて、しかもわざわざ取説でまで「好きなように遊べ」と宣言しておきながら、後になって「実はこうでした」的設定を、公式の立場で放出するっていうのは。問題は「公式の立場」という部分で、いくら「プレイヤーが好きに遊ぶ」原則を決めていても、オフィシャルなところから発言が出たら、どうしてもそれは気になってしまうでしょう。
 予めゲーム内でなされているネタふり……シオネ伝説とかタイムゲートとか「お父さん」とか、あの辺りの設定は、ゲーム内の要素だけではネタが足りなくて、プレイヤーがいくらゲームを遊んで考えたところで、絶対に回答は出せない。想像の限界点をつくってしまった上で、裏設定でそのすべての「回答」を明かす。それに付随して、自由だったゲームの印象全体を塗り替えるような設定をも広げてしまう。そりゃやっぱりずるいですよ……。
 要はこの「ネタ」を用いて、オンラインでテーブルトークRPGみたいのをやりたかった、その為のネタふりが「ガンパレ」である、と、試み自体は確かにすごいと思いますよ。でもそれって、その「謎ゲーム」に参加できなかったらおしまいな訳です。パッケージのゲームは売られ続けているのに、「謎ゲーム」は一定期間で終わっている。当時リアルタイムで参加できなかった人に残されるのは、それぞれがゲームの内部で培った印象を裏切るような、突拍子もない設定と、制作者の電波的な発言の数々。
 とは言えご本人たちは、そんなこと全然気にも留めていないんでしょうけどね。第7世界の「常識」なんぞには囚われないっつーことでしょうか。電撃文庫の小説版、矢上氏のあとがきもの凄かったですね。まあどうでもいいんですが。

 ゲーム自体は本当に本当におもしろいんで、絶対にオススメします。裏設定はできれば無視する方向で。それか、自分にとっておもしろいところだけ採用するとか。スタッフの発言に対する「自衛」をファンに要求するゲームって、いったい何じゃろと思いつつ、いろんな意味でひっかかりがある不思議な1本です。


つれづれゲームレビュー / ラジカル・ドリーマーズの小部屋