『幻想水滸伝』/『幻想水滸伝2』(プレイステーション)

 こちらも発売から相当の時間が経ってからプレイした、PSのRPGの中でも特に有名なシリーズ。今更内容などの説明は必要ないでしょう。我ながら遅い幻水デビュー。「でもおかげで、ベスト版価格でシリーズ2本、まとめて遊べるもんね〜!」と開き直ってみたのですが……購入直後に、「幻水3」発売記念?で、更なる廉価バージョンが発売されましたとさ。がーん。
 まあ、ベスト価格2.980円でも充分安い!という内容でしたから、損した感はないんですけど!(←ややカラ元気)かなりおもしろかったです。久々に、王道的RPGをプレイしたな、という感じ。長らく勧め続けてくれた某さん、手を出すの遅くてごめんなさいでした!
 ホントはこれ遊んでる間に「幻水3」がPS2で発売されたのですが、残念ながらそちらは未プレイです。なので、以後のレビューで「シリーズ」という言葉が出ても、そこに「3」は含まれていないということをお含みおき下さい。「3」も、いずれ暇ができたら手を出したいと思ってはいるのですが、いつになるやら……。

 「幻水1」と「幻水2」、両主人公の立場こそ正反対なんですが(これについては後で書きますが)、どちらもレジスタンスのリーダーとなって、権力を持つ支配者と戦いを繰り広げてゆく。いわゆる「国盗り」「戦国」モノというか、まあファンタジーRPGではままある設定。
 よくある設定なんだけど、それがとてもきちんと描けてるなあ、というのがシリーズ全体の感想です。何というか、「勢力」と「勢力」が対立したり拮抗したり、抗争を繰り広げている感じが、プレイしていてきちんと伝わって来るんですよね。「勢力」「異なる陣営どうし」の戦いがまずあって、その中に「個人」どうしの戦いが内包されてる。そういう構造が、ちゃんと伺えるのはさすがと思います。
 戦争イベントとかのせいもあるのでしょうが、段階的に大きくなってく組織の感じとか、あと幻水って全体に、交通の行き来が不自由ですよね。RPGとして考えると、やや不親切なその状況が、「勢力どうしの戦争」という空気感を演出する上では、たいへんな効果を上げてると思います。ほんとに終盤になって、ようやく大陸中を自分の好きなように移動できるようになると、こう「征服したなあ……」という実感が湧いてくる感じで。←おい。
 世の多くのRPGでは、設定こそ「国盗り平定」であっても、実際にプレイヤーが操作するパーティの規模感が小さすぎたり、体験するイベントの内容が「個人的冒険譚」に寄りすぎてたりで、局地戦的ニュアンスだけしか感じられないままに、シナリオだけは「世界を平和にできました」になっちゃったりすることがあるもので。幻水も「吸血鬼退治」とか、割合フツーのRPGにありがちイベント(ゴメン)も少なくない割には、雰囲気として「戦争の大陸」の匂いが漂ってる点が、個人的には惹かれた部分です。

 「幻水1」の主人公は、帝国の有力将軍の息子。「幻水2」の主人公は、どこの馬の骨とも判らぬ(失礼!)一介の戦災孤児。シリーズ2作の主人公どうしが、こういう「まったくの正反対」の立場から出発していながら、避けがたい運命から強大な力を与えられ、最終的には似たようなレジスタンスのリーダーとして戦うことになる……という構造になってるのも、おもしろいと思った部分です。過程や結果は実は似通ってるんですが、出発点の差異から考えると、戦いの間彼らが感じていた気持ちは、全然違ったものなんじゃないかなあと。
 「1」の主人公は、愛称が「坊ちゃん」というだけあって、元々は何不自由ない暮らしをしていた「支配者側の人間」。父親は帝国でも高名な将軍、街に出れば知らぬ人ない、誰もが尊敬するような立派な人物。しかも、身元も正体も知れないテッドを住まわせていた辺りや、ゲーム中の言動からも、心優しく高潔な人柄が伺える。その一人息子とならば、「坊ちゃん」にも相当の愛情と期待が周囲からかけられていたでしょうし(グレミオの存在が象徴的ですが)、本人もきっと「ゆくゆくは父のようになりたい」というような、単純な憧れとか尊敬を持てていたんじゃないかなと思うのですよね。
 それがある日突然、がらがらと崩壊してゆく。親友の「死」。着せられた汚名。放浪の中で初めて目にした、巨大帝国の腐敗の現実。世間知らずな「坊ちゃん」でしかなかった彼が、現実と出会い打ちのめされながら、「自分の道」を定めて行くまでの物語。
 「2」の主人公はそれとは、真逆の過程をたどります。むしろこちらは、例えば「2」世界の一般民衆の目から見たら、主人公の「出世物語」とすら言えるかも知れない。どこの馬の骨、な少年兵が、自らの国土を席巻する強大な「悪」を駆逐し、自由と平和をもたらすまでの、英雄誕生の過程。けれどその裏にあったであろう、「個人」としての彼の絶望と希望……。

 「1」をプレイし始めた当初は、やはり初出から7年経ってしまってるゲームなだけあって、さすがにちょっと古臭いなあ、という印象は否めなかったのです。システムもやや不親切だし、おつかいイベントも少なくないし(対岸の町の宿までフリックを迎えに行かされた時は、ちとムカついた。大人げねえ……)。
 惹かれ始めたのはやはり、「どうあってもレジスタンスにならねば、生き延びることはできないらしい」ということが確定し出したあたり……マッシュを口説いて本拠地を入手したところへんからでしょうか。何か、ああ、かわいそうだなあと思って……。
 「坊ちゃん」がこの運命に呑まれてしまったきっかけって、実は別段何もない。確かに帝国の暴政はすでに行われていて、世界には苦しむ人々がたくさんいたのかも知れない。でもまだ10代半ば(ぐらいだよね?)の彼は、その苦しみを目の当たりに感じていた訳ではない。問題意識も、自分が実は「特権階級である」ということへの優越感も罪悪感もない……ただ穏やかに日々を過ごしていたのに過ぎない。
 それが、ただ……ただ、瀕死の親友の突然な「願い」に、否応もなく首を縦に振っただけ。ただあれだけの選択が、彼から日常を奪い家族を奪い、そして「老い」と「死」すら奪った。
 「真の紋章」の話は、また「2」のとこでも触れるかもですが、「1」の坊ちゃんのそれはひときわ痛ましい。唐突に与えられてしまった、圧倒的な人外のパワーと宿命を、わけあう相手が彼にはいない。108の宿星を集めて、信頼のできる仲間がどんなにたくさん増えたとしても、「最後」には彼が独りぼっちで残ってしまうことが、はじめから既に判っている。本来それをわかちあうべきはテッドなんだけど、その彼は既に亡い。「ソウルイーター」じたいが、「その意味を知った時には、その痛みをわかつ相手はこの世にいない」という構造の中で受け継がれてゆく紋章のようですよね。
 元ネタは明らかにムアコックの「黒の剣」なんだけど、このダークヒーローのイメージ……親しき者、愛する者をこそ至上の獲物として奪わずにいられない、あのストームブリンガーの運命が、坊ちゃんの旅の道行きを暗く彩っていて、ラストカット……パーフェクトエンディングのそれを見てもなお、嘆息がこぼれた記憶があります。

 前半をプレイしていて、グレミオの物腰や風貌が好きだった自分は、中盤の展開でだいぶん鬱になりました……というかあそこ、断っても断っても絶対ついてくるグレミオ選択肢が何か、無力感あおるというか、プレイヤーいじめとしか思えない。だってアレはファーストプレイでも、あからさまに「あんた死ぬで」と勘付く展開じゃないですか……。
 でもついてくる。そして案の定……な訳ですが(しかもあの最期はあまりにもショッキング……声と気配が伝わって来るのに、何もできないんだぜ主人公)、あれを経験しちゃうともう、坊ちゃんは昨日までの坊ちゃんじゃなくなっちゃうよなあ……。誰が何を言おうと、誰を手にかけることになろうと、あの道を突き進むしかなくなる。彼のことばを無駄にしない為に。彼の残した信頼に、全力で応える為に。
 でも、とすると……実のところ「グレミオを失う」という運命すらも、真の紋章がしかけた「罠」でしかなかったんじゃないか、という恐ろしい推測が成り立ってしまうんですよね。だって紋章の望んだ通り、宿星を集めれば、彼は帰ってくるんだもの。「帰ってきた」のか、「返してもらった」のか、果たして。
 絶望をモチベーションとして成される革命。その為の死。その為の生還。でもたぶん、彼に紋章を与えて革命を成さしめた何者かの目的は、真の紋章の奪還にあって、人間どもの世界の運命なんかは、ホントはどうでも良かったんだろうなあ。

 この、「たぶん人間の運命なんか、どうでも良かった」というニュアンス漂う「真の紋章ども」のエゴイステックな振る舞いが、「2」で最高潮に達すると勝手に思ってますが。その本質から「対立せざるを得ない」ふたつの紋章を、親友どうしに与えて戦わせる。そりゃまあ、紋章の継承もその後の戦いも、自ら選び自らの意志で行ったものではあるのですが……あからさまに、その意志を利用してのっかって、紋章の統合を図った何者かが存在する。
 「1」でも「2」でも(「2」は選択肢にもよりますが)、主人公たちは最後は結局、自ら築き上げた世界と仲間をなげうって、何処とも知れない旅に出てしまう。あれは「解放された」と言えるのかなあ。世俗的な運命からは脱したけど、本人の運命そのものからは逃げられない。あり若さにして、いきなり隠居の旅立ちみたいにならざるを得ないのが、やはり不憫だなあと思います。

 「2」は「1」に比べると、主人公が「馬の骨」なせいか(←いい加減やめい)、地べたから這い上がるような展開というか……最初は連戦負け続きだし、あっちの戦いが残虐なら、こっちの戦法も卑怯という、何ともドロドロな戦況が続いて行くので、「1」では正直関心の持てなかったネクロード周りのイベントが、さわやかに決着のつく王道RPGらしいエピソードで、一服の清涼剤のように感じてしまったりしました。←吸血鬼が「清涼剤」ってどーよ。
 いやマジで、「2」に関しては、長生きのモンスターごときよりも、人間の方がよほど怖くて残酷です。でも話としては、結構きらいじゃない。というか、軍師が……マッシュよりシュウの方が数十倍好きなんですよね。外道ですけど。コインのイベントの時は、「仲間にする前に一発殴らせろ」と思いましたけど!
 でもあれが本当だろうな、と。勢力と勢力の争いの中で勝つ、ってことはね。個人的には「2」は、シュウの謀略とルカの蛮力の印象が強すぎて、フリックやビクトールの印象がすっかり消し飛んでしまいました……(いい人たちですけどね。特に「逃亡」イベント周りでのビクトールは、大人の対応でカッコ良かった)。

 ルカ・ブライトはかなり好き。そしてそれをああまで袋叩きにして、武人の誇りなど全うさせないような殺し方したシュウはもっと好き。このふたりって、自分の手を汚すということ、報いを受けるということを、全く躊躇しない点で、おそろしく似たものどうし。そしてその強烈な対決の中で、主人公とジョウイの運命がすり潰されて行く。
 ジョウイの行動原理というのが、今いちわかるようなわからないような……どっちかって言うと、前作主人公に近い立場であるようで、決定的に違うのが、庶子であるということ。本当はジョウイはハイランドを憎悪してたようにも思うんですが、それが何故か、向こう側についてしまって……。たぶん、ハイランドについたというよりは「主人公の敵に回りたかった」のかなと、ちらっと思ったりしたのですが。主人公とジョウイが正面から噛み合って、いやってほど戦って決着つけて、大陸全土の戦いを止揚しちゃおうとか、そんな印象。でもそれって、結局は「真の紋章」の目論見そのままな訳であって……。
 バッドエンディングの方で、約束の場所で一人待っていたりするの見ると、ああ、この子は「食われて」しまったのかなと、すごく傷ましいものがあります。本人の無意識の欲求とか、漠然とした望みであったものを、紋章がどっかで煽ったのではないかと。先にも書いたとおり、選んだのはあくまでも自分、ではあるのですが。

 中盤〜終盤のティントの「リーダー逃亡」イベントは、「幻水」全編通して一番好きなイベントです。いやね、あそこでようやく、本当の意味で主人公に感情移入できたのですよ。訳もわからぬまま故国を追われて、流浪の身から反乱軍になって、リーダーに祭り上げられてしまって、親友と正面衝突。よく考えると、彼が守れと言われている土地は、本来縁もゆかりもない異邦の地。人道的立場から、或いはその他もろもろの因縁から、「こうすべき」と言われれば確かにその通りだけど、でも「何で僕じゃなきゃいけないの?」。
 しかも、逃げ切れやしない。あんたが逃げたから人が死にました。じゃあ勝手にすれば的放置の仲間たち。知らない間に「勝手に」かけられてる責任と、大きすぎるプレッシャー!結局あそこで「それでも逃げる」選択をしても、「再び戻る」ことにしても、何ひとつ答えが出ないんですよね。何故彼は戦わなきゃならなかった、のか。それ以前も、そのあとも。
 紋章と運命に逆らっても、従っても、待ち受けているのは同じ世界。漠然と……敢えて彼のモチベーションを推測するなら、それは「何故紋章は、こうまでして自分たちを戦わせようとしてるのか」ということを知るためだったりするのではないか、と妄想したりしました。逃げられない運命ならば、従ったフリをしつつでも、先へ進んでこの目で確かめるしかないんじゃないか?そんな感じです。
 でもその過程で、あまりにも大切なものが奪われ続けて行くのですが。個人的には「幻水2」終盤の展開は「ティント逃亡→ナナミ死亡」で、更にジョウイも倒してしまうのが本筋なんじゃないかと、穿ったこと考えたりしてます。というか、いわゆるの「ベストエンディング」が、それまでの過程を考えると、うそ臭くてたまらないのですよ……。ナナミは大好きなお姉ちゃんで、ぜひとも帰ってきて欲しいんだけど!
 でもそれは、報酬として「与えられた」なにか、という気がする。戦い抜いて、紋章を取り戻した彼らに対する「ごほうび」としての復活。ロックアックスでのナナミの「最期」にも、本人の普段の言動にも、主人公とジョウイの本当の自由としあわせを祈る気持ちを強く感じるだけに……そんな風に扱われていいものか、本人の魂が望むのか、迷ってしまうのです。
 まあそれでも、死んでしまうよりは生きている方が、絶対にいいとは思うのですが……。たとえ隠居の逃亡に見えてしまうラストカットだとしても、生きていればこそ、新しい可能性も見出せるとは思いますし。彼らに関わった人たちの運命が過酷すぎて(特にジルとかジルとか、あとジルとか)、あまりのほほんと逃走されても、うーん、ではあったりしますけど。

 なんか、つらつらとまとまらない雑感を書き連ねる内に、結構な長さになってしまいましたねー。最後にシナリオ以外のプレイ記録的なことなどまとめて、シメにしたいと思います。
 108人の仲間ができる!というふれこみに、「そんなに仲間いてどーする!?」と御多分にもれずビビっておった私ですが、108人全員がバトル用メンバーじゃないんだね……ほっとしました(当たり前だ)。個人的に、お店屋さんやら職人やら、戦わない人たちもたくさん仲間になるところなんか、本当に「レジスタンスを組織してる」感じで楽しかったです。
 燃えたのはやはり、「2」のレシピシステムと、料理バトル!特に料理バトルは面白すぎて、序盤にあんまり熱心に進めてしまった為、せっかくグレミオ生存の「1」コンプリデータロードしてるのに、見事に「シチューレシピ」1周目ではもらいそこねました(バナーの村行く前に料理バトル終了してた。早すぎ)。
 魔法の使用回数が、けっこーシビアな為、どうしても物理攻撃メインになっちゃうんですが……というか、「1」終盤になるまでほとんど紋章を使わなかった為、全体回復魔法があることに全く気づかず、ボス戦ではもれなく苦戦してました。ネクロードとバトルすると、必ず1回は全滅するのでだいぶトラウマです(というか、あの辺から強烈にボス強くなるよね……)。
 「2」でいろいろとキャラは増えてるのですが、結局スタメンに入れるのは、「1」からのメンツになってしまったのが、自分進歩ないなあ……という感じでした。スタリオン、シーナ、フリック、バレリア、ルック、フッチあたり。わりあい王道メンバーかも?「1」だとそこにキルキス、ルビィ、「2」ならサスケやシエラもよく入れてました。
 キャラ個性込みで好きなのが、シーナとルック。テンプルトンもちょっと気になる。ああ、わかり易すぎるぞ自分……。お姉さま系も大好きなので、シエラの登場はだいぶ嬉しかったなあ。ステータス妙に中途半端で、何か使いにくかったのが残念ですが。


つれづれゲームレビュー / ラジカル・ドリーマーズの小部屋