ゲーム音楽つれづればなしスペシャル〜クロノ・クロス

はじめに

 99年11月に発売された、スクウェアのPS用RPG『クロノ・クロス』。今回は、その中でも特に「音楽」について、思いっきりしゃべり倒そうという趣向でございます。
 ご存じの方も多いでしょうが、『クロノ・クロス』は往年の名作RPG『クロノ・トリガー』の続編であり、音楽担当も前作同様、光田康典氏となっています。んで、私にとって光田氏は、ナンバーワンゲーム音楽作曲家……。今回もその世界にしっかりどっぷり、ひたらせて頂きました!
 総論としては「すげーいい!皆、聴け!」の一言で終わりそうなんですが、それじゃあどーにもならんので。以前、このコンテンツでゲーム音楽をしゃべり倒した時と同様に、「クロノ・クロス好きな曲ベスト5」をやってみようと思ったのです。
 ……が、素晴らしい曲が多すぎて、私、好きな曲を絞り込むことができませんでした。つー訳で、今回の企画は「クロノ・クロス 好きな曲ベスト12」です!……はいっ、皆さんツッコんで下さい!多すぎじゃあ!!でもー、絞れなかったんだもんこれ以上!←開き直ってます。
 しかも、選んだ曲に「順位」をつけることもできず。今回の各曲トークは、サントラでの収録順にならんでおります。ここで挙げた曲は、どれも甲乙順列つけがたい、名曲ばかりっつーことで。
 何か既に企画として、以前のものより馬鹿度が飛躍的にアップしてる気がするのですが……お願い、しゃべらせてー。しゃべりたいのよ好きな曲についてさー。

たゆたう海の音色

 ……んで、ほんとだったらこの後に続けて、その「ベスト12」を書こうと思ってたんですが、いざ書き出してみたら膨大な量になっていて。そりゃ、12曲分もレビュー書きゃ当然だよなあ。とても1つのファイルにはまとめられないようなので、泣く泣く分割しました。
 とりあえず先に、総まとめ的なことをしゃべってしまいます。えと、最高。←違う。

 真面目に語りますとね。やっぱり「音色を生かした静かなスロー」と「派手やかなアップテンポ(但し金管ファンファーレオーケストラ大厳禁)」という、個人的好みにがっちりハマってしまった曲の、何と多いことか、という感じなんですよ。
 正直、民族音楽とか全然わかってないんですが、とにかく、クロスの音楽は聴いていて心地よい。海、をイメージの中心に据えたゲームだからかも知れませんけど、寄せ返す波の心地よいリズムとか、そういうのに近いような、何とも言えずゆったりとした心地よさを持つ曲が、すごく多かったです。
 一方で、イベント用の曲には、思わず鳥肌の立つようなカッコいい曲や、胸締め付けられるせつない曲がみちみちていて、もう隅から隅まで浸りきれる。素晴らしいです。

 ゲーム中での各シーンへの音楽の合わせ方も、実はクロスのおおきな魅力だと思います。当たり前だけど、訳分からない使い回しとかないしね(←まだ言ってます)。印象的なのは、イベントシーンからそのままボス戦に移行する曲というのが結構あって、それがまた、どれもいい使い方されてるんですよね。「運命に囚われし者たち」とか、六龍戦の「神の庭」とか。
 昨今のゲーム、だいぶ音楽に気を遣うものも増えてきたとは思うんですが、この辺りのさじ加減については、なかなか……ボス戦だけは結局、固定の専用曲にかけかえてしまったりして、シーンのテンションを下げる結果になってる例も多いのでね……。

ゲームの為の音楽・音楽の為のゲーム

 劇伴か、それとも独立した音楽か、とか言うことが、昨今の「進化したゲーム音楽」については時々、言われております。昔はハードの能力が圧倒的に低く、特にグラフィックは今とは比べものにならない貧弱さでした。主人公キャラなんて、胴に頭がめり込んでるような二頭身キャラだった訳だし。
 その画面に「世界」をうつし、物語に命を与え、プレイヤーの感情移入を誘うために、かつてのゲーム音楽というものは存在した訳です。つまり、画面では語りきれない世界を補完する為に、音楽が語った。それによってゲームが「生きた」ものになった。……けれど今では、グラフィックの質が格段に向上し、実写と見まごうものまで出てきた。もはや、ゲーム音楽が「欠けた世界」を埋め合わせなくても、イベントシーンの感情を引き立てなくても、ゲームの画面はじゅうぶんに物語を語るようになった。
 たぶんそれで、現在のゲーム音楽のあるべき方向に、戸惑っているクリエイターも、少なくないのかも知れませんね。ゲーム音楽の方法論、在るべき姿そのものが、大きく変わって来ているから。

 不思議に思うのは、今回のクロスにしてもそう……光田さんのゲームの音楽には、そういう「迷い」をあまり、感じられないんですよね。いや、裏では色々あるのだともちろん、思います。ただそれが音楽には出ていない。画面に対して引くとか、音楽でここは語るとか、そういう使い分けがされてる訳ではなく、ただ「この瞬間にひびくべき、最上の音楽を」もとめて、作られた楽曲、という気がするんです。少なくとも聴いている方としては、そう感じます。
 「最上の音楽」だから、もちろんゲームの場面から切り離しても、充分に成立する楽曲ではある。クロスを知らなくても、このサントラの曲だけを楽しむことだって、全然オッケーだろうと思います。それだけ1曲1曲が、完成したひとつの世界観を持っている。
 けれどそれを場面にあわせてかける時に、ゲームのシーンも、音楽自体も、何十倍ものパワーを持って輝き始める。音楽が語り及ばず失速することもないし、シーンが音楽に追いつかないこともない。ただ両者がからみあって、二乗三乗のちからを発揮する。
 ……クリエイターの、凄みを見た気がします。ゲームの音楽って、ただ単に「いい曲」をつくって鳴らせばいいというものではない。いい曲があり、その曲の「使い方」があり、そして物語がある。さすが、ゴールデンコンビのお仕事だなと、つくづく感動させられました。

 願わくは、加藤正人氏の次回作も、音楽担当は光田康典氏でありますように……って、まだ気が早すぎますか。でも、今回みたいなカンペキなコラボレーションを見てしまうと、ねえ。そして更なる新しい世界を、我々の目に見せて頂きたいと思う次第でございます。「それゆけ!星の子大冒険!」オッケーです。つくって下さい。いや、マジで。


それではそろそろ、メインコンテンツへ参りましょう。

クロノ・クロス 好きな曲ベスト12!

終盤の曲については、どうしてもネタバレになっています。ご注意を。


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