「聖剣伝説レジェンド・オブ・マナ」プレイ後雑感(前編・ネタバレなし)

データ プレイステーション用ソフト 1999年7月発売
定価¥6、800(税抜) スクウェア

発売一周年を記念して……?

 あああ。こんなに遅らせるつもりはなかったんだけどなあ……無念の1年(以上)遅れのレビューになってしまいましたが。

 1999年は、私個人としては「RPGのスクウェア」の底力を見せ付けられた年でありました。何かといろいろ言われがちのスクウェアさんでありますが、やっぱり凄いクリエイター様方はご健在、逆に言えば、プレステ2が発表・発売されたからこそ……プレステというハードの特性を十二分に発揮する、凄い作品が次々リリースされていたと思うのです。
 「サガ・フロンティア2」「聖剣伝説レジェンド・オブ・マナ」そして「クロノ・クロス」。誰が何と言おうと、私はこの3本のゲームをとても面白いと思ったし、大好きだし、「やっぱりスクウェアのRPGっていいなあ……」と、初めてコンシューマーゲームに触った頃のことなど、思い出したりしたのでした(って、ゲーム歴は短いので、そんな昔のことじゃないのですが)。
 んで、今回はその中の1本。以前より告知していた通り、「聖剣伝説レジェンド・オブ・マナ(以下「聖剣LOM」)」の、プレイ後雑感だらだらレビューでございます。冒頭でも触れましたが、だらだらと書き延ばしている内に何と、リリースから1年ちょい、遅れてのアップとなってしまいました。
 今となっては、多少内容を忘れている部分もあったりなのですが、すごく楽しませて頂いたゲームなので、愛を込めて書いていきたいと思います。毎度のことですが、「前編」は一応ネタバレ無し、「後編」はネタバレオンパレードの雑感となっています。

黙して語らぬ物語

 上段で「1999年・スクウェアすごいぜRPG!」ということで、私は3本のソフトのタイトルを挙げました。そんで、もしも「この3本から、無条件に誰かに勧めるとしたら?」と問われたら、私はたぶん「聖剣LOM」を推すと思います。「無条件」というところが、ちょっとポイントなんですが。
 初心者から、ある程度ゲームをやり込んだ人まで。あまり余暇のない人から、じっくり腰を据えて遊べる余裕のある人まで……聖剣LOMの一番の魅力は、異様なまでの「間口」の広さにあります。どんなユーザーでも、そのユーザーなりの楽しみ方を拾ってこれるゲームであり、プレイヤーがゲームに働きかけた分だけ、ゲームがきちんと応えてくれる。
 手触りと手応え。いいゲームというものは、たいがいそれを持ち合わせているものですが(それを総じてゲームの「世界観」なんて言葉で括ったりしますが)、聖剣LOMの場合、それが非常にきめ細かく作り込まれていて、遊ぶものを惹きつけてくれます。練り込まれた基本システムに、絶妙のバランス、テンポ感を重視したシナリオ運び、そして盛り込まれた数々の要素……。。
 ただし。その「手応え」を得て、このゲームの世界をじっくりと楽しむ為には、プレイヤーが自分から、ゲームに対して積極的に働きかける必要があります。ただ漫然とシナリオを解いていくだけでは、その本当のおもしろさが見えてこない。通り一遍を撫でただけで終わってしまいかねない。
 システムも、様々な要素も、物語そのものも……自分で見つめ、考え、自分のなかで再構築を果たして行かねばならない。そうやって初めてわかるおもしろさと、感動。聖剣LOMの、たぶんそれが一番の長所であり、また短所ともとられる部分なのだと思うのですが。

 聖剣LOMには、決まったかたちの「世界」というものが、そもそも存在しません(このこと自体が、後にシナリオにも大きくかかわってくるのですが)。ただ広いフィールドだけが用意されており、プレイヤーは最初に、その一部分を切り取って、「自分の『世界』の領域」を決定します。そしてこの「自分の世界」のうちに、「アーティファクト」と呼ばれる魔法のアイテムを置きます。アイテムはフィールドに置かれた瞬間、変貌して、家や街、ダンジョンなどに姿を変えます。
 こうして生まれた「世界」のなかを、プレイヤーは冒険して行くのです。物語が進むに従って、新たな「アーティファクト」を入手することもあり、そこからまた新たな世界が広がっていく……「世界」の生成とシナリオの進行が同時に行われており、プレイヤーが多くのキャラクターたちと出会い、様々な冒険を繰り広げるそのたびに、最初何もなかった空っぽのフィールドが、息づく小さな天地へと、進化を遂げてゆくのです。
 流行の「図鑑」補完のシステムもあり、新たなキャラクターとの出会い、通り過ぎた冒険の数々から、道具・武器類に至るまで……物語の、ほぼあらゆる現象が各種の「図鑑」に書き留められて増えていきます。
 アーティファクトによる「世界の生成」しかり、様々な図鑑しかり……聖剣LOMというゲームは、およそプレイヤーが触れるすべてのものを「かたち」として残し、つづって行く形式をとっています。冒険の足跡……その世界に生きた証をすべて記しとめていくことで、最初はただの空っぽなフィールド、白いページでしかなかったところに、「世界」がつづられていく。ゲームに働きかけることによって、ゲームそのものが動いて行く。「働きかけねば応えてくれない」おもしろさを、最初からシステムの中核に据えているのだろうと思います。

 風景は箱庭のようで、手に入れる「アーティファクト」は子供のおもちゃのような、かわいらしいものばかり。純ファンタジー、おとぎ話の登場人物のようなキャラクターたちが入り混じり、ほのぼのとした雰囲気の漂う「自分の世界」。
 けれど物語そのものは、語られることばは、決してみなやさしくはない。むしろ特に粛然とするような人生の真実を、世界のすがたを、さらりと垣間見せて微笑んでいる……それがこの物語に私が受ける、印象です。
 基本は、「微笑」なんです。笑っていると思う。けれどその裏に潜んでいるものの、真意は……?しみじみと噛み締めるには、ある程度の年齢もいるのかなと思ってみたりします。
 というか、このゲームそのものが、いろんな意味で「大人のためのファンタジー」なのではないかと思ったりもするのです。子供が遊ぶ為のものではなく、むしろ大人が、仕事から帰ってきた後の1.2時間で、少しずつ、長く楽しむ。汲み取り、考え直し、手応えを楽しむ……という楽しませ方じたいが、あまりお子様向きではないのは確か。詳しくは「後編」のネタバレでも、触れたいと思いますが……。
 最近疲れたなー、とか、家に帰っても寝るだけだしー、という大人の方々に、そっとオススメしたい1本であることは間違いありません。

初心者からコアユーザーまで

 とは言え、別に若い人を拒絶してるって訳ではないですね。とにかく要素の多いゲームですから、私のような楽しみ方……シナリオの真意を考えようとか思うタイプ以外にも、全然違った楽しみ方・遊び方ができる筈です。
 武器や防具を作成する。魔法を放つ「楽器」を作成する(このゲームでは、魔法は楽器を奏でることによって発動するのです)。野生のモンスターのヒナを捕まえてきて、育て上げる。庭の果樹園で果物や野菜を育てる。様々な武器を使いこなし、戦闘の鬼になる。……それぞれが、ものすごく深い要素を持っていて、極めようとすればどこまでも極められる。
 けれど別に極めなくたっていい。シナリオを解くだけだったら、よほどのヘマをしない限り、お店で売っている武器類でもクリアはできる。戦闘はアクション要素を含みますが、難易度はそれほどでもないので、アクション苦手な人にも自信をもってオススメできます。
 そう!聖剣LOMが出たばかりの頃、どこかで「アクションがヌルい」という意見を見たのですが、あれは「貴様は聖剣をわかっとらん!」と思いましたね。聖剣はいいんですよ、あのヌルいアクションで。重要なのは、操作キャラの動きとコントローラー入力の「一体感」なんです。攻撃ボタンを押す指が、まんまキャラの持つ剣や斧となって、バシバシ敵を殺戮して行く感覚!それが聖剣シリーズの戦闘です(断言)。アクションは「ゼ○ダ」辺りにお任せしておけば良いのです。
 個人的には、アクション非常に苦手なユーザーなもので、聖剣シリーズ独特のあの「ヌルさ」を、私は非常に愛しております。今回、完全横スクロールになったと聞いて、難易度上がったんじゃないかと、ドキドキしてたんですが……良かった。

 聖剣のシリーズファンの中には、今回のLOMは「雰囲気が違う」みたいな意見もあったみたいです。私も正直、最初にキャライラストを見た時には、戸惑いがありました。でもプレイしてみて、とにかくおもしろかったから。いい意味で、進化できたと思うのですよ。あのヌルい操作感覚はそのままで……。
 先入観を捨てて、一度はプレイしてみるべきソフトだと私は思います。


(注1)「この3本から、無条件に誰かに勧めるとしたら?」
「サガフロ2」は、サガ特有の難易度の高い戦闘があれなので、それなりにRPG慣れしてる人向けですね。シナリオの「西欧中世歴史絵巻」のノリも、人を選ぶと言えば選ぶ。「クロス」はやはり、「トリガー」やってること前提なので、「トリガー」とセットにしてならイチオシ。でも単品で勧めるとなると……というところですよね。
あと両者とも、実は旧作のファンに勧めると却って怒られるという謎の現象が一部に……

(注2)「いい意味で、進化できた」
今更言うのもあれですが……聖剣は初代・2・3とも、どれも「今一歩で賞」というか、ある部分はとても良くできてるのに、ある部分はめちゃめちゃバランス悪かったり、まとまってないような印象が、ずっとありました。実は私は初めてプレイしたゲームソフトが初代聖剣なんで、シリーズにむちゃくちゃ思い入れがあるんですが、それさっぴいても、時々つらい。
特に「聖剣3」は、システムとシナリオが全然噛み合ってなくって。鬼のよーに気合の入ったグラフィックとか、それぞれのキャラとか、必殺技とか、育成とか、単品ではどれも高水準なのに……あれだけ多様なキャラ育成・パーティ構成が可能なのに、シナリオがかなり長い1本道のしかないんだよね。あの育成システム生かすなら、シナリオを全体短めにして、キャラごとの固有イベントを増やすべき。でないと、普通のプレイヤーには、せいぜい全ジョブの半分も見られない結果になる。メンバー変えてもシナリオにほとんど変更がないし、無理やり「6人全員に共通の話」で進行させるから、ここぞ!というイベントが薄いし(キャラ立ててるのに、「らしい」シーンがほとんど見られない)。オチがないがしろだし。ホークアイが好きだったりしたのですが、あのオチは未だに……ううーん。


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